固定資産会計
このトピックでは、固定資産とその会計基準を取り上げて説明します。
固定資産とは
固定資産とは、販売目的ではなく、継続的に会社で使用することができる、または長期に渡って所有される資産のことであり、貸借対照表上で借方「資産の部」の下側にくる勘定になります。
固定資産と対照になるのは、現金や棚卸資産等の流動資産があります。
固定資産の分類
固定資産は以下のように分類することができます。
- 有形固定資産
原則1年以上使用することを目的として所有する資産のうち具体的な形態を持ったもの - 無形固定資産
具体的な形を持たない資産で、長期に渡り経営に利用され、他企業との競争上有用なもの - 投資その他の資産
長期の利殖を目的とした資産、他の企業を支配するための投資およびこれらに属しない長期資産
減価償却
減価償却とは
減価償却は、高額な資産について、購入年度だけでなく数年にわたってその費用を計上できる仕組みです。
建物や設備などの有形のものだけでなくソフトウェアなどの無形の財産にも適用され、それぞれの耐用年数に応じて資産の価値からその年に消耗したとされる金額を費用として引いていきます。
耐用年数は、実際の使える年数、使った年数にかかわらず、固定資産の種類毎に国が定めた年数となります。
減価償却の種類
減価償却は、正規の減価償却のほかにも、臨時償却、特別償却、臨時損失などがります。
- 正規の減価償却
正規の減価償却とは、毎期規則的・計画的に行われる通常の減価償却のことです。 - 臨時償却
臨時償却とは、耐用年数の見積違い等が判明したときに過年度における減価償却の過不足を修正するために行われるもので、前期損益修正項目(特別損失)です。 - 特別償却
特別償却とは、租税特別措置法の規定によって国の経済政策観点から、通常の償却限度額を超えて行われるものです。 - 臨時損失
臨時損失とは、災害や事故があった場合に行われる固定資産の評価替のことです。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算は、時間とともに減価償却していく定額法、定率法とその資産を使って得た利益に応じて変わる生産高比例法などがあります。
- 定額法
減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数 - 定率法
減価償却費=未償却残高×償却率 - 級数法
減価償却費=(取得原価-残存価額)×(耐用年数―経過年数)÷1から耐用年数までの算術級数総和 - 生産高比例法
減価償却費=(取得原価-残存価額)×(当期利用量÷総利用可能量) - 取替法
取替法とは、最初の取得原価をそのまま帳簿価額として据え置き、部分的取替えを行った際に、取替えに要した支出額を当該会計期間の減価償却費として処理する方法である。
圧縮記帳
圧縮記帳とは、国庫補助金等で取得した資産に関して、その帳簿価額を取得原価から国庫補助金などに相当する金額を控除した金額とし、そしてその帳簿価額に基づいて減価償却を行う方法です。
例えば、P社が国庫補助金100,000円を受け入れ、1,000,000円を加えて機械設備を購入し圧縮記帳を行い、決算時に減価償却を行いました(定額法:耐用年数5年)。
仕訳
- 受入時
(借方) 現 金 100,000円 / (貸方) 国庫補助金受入益 100,000円
- 購入時
(借方) 機 械 装 置 1,100,000円 / (貸方) 現 金 1,100,000円
- 圧縮記帳
(借方) 固定資産圧縮損 100,000円 / (貸方) 固定資産圧縮額 100,000円
- 決算日
(借方) 減価償却費 200,000円 / (貸方) 減価償却累計額 200,000円
貸借対照表
機械装置 1,000,000 | 減価償却累計額 200,000 |
損益計算書
固定資産圧縮損 100,000 | 国庫補助金受入益 100,000 |
減価償却費 200,000 |