目次

固定資産

固定資産とは

固定資産とは、企業活動の基礎となり、長期間継続して使える資産のことです。

 

会計上の固定資産

定義

会計上の固定資産とは、販売目的でなくかつ継続的に会社で使用することを目的とする財産のことです。

分類

固定資産は以下の3種類に区分されます。

税法上の固定資産

法人税法では、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるものと規定されています。

固定資産

 

固定資産とは、販売目的ではなく、継続的に会社で使用することができる、または長期に渡って所有される資産のことであり、貸借対照表上で借方「資産の部」の下側にくる勘定になります。

固定資産と対照になるのは、現金や棚卸資産等の流動資産があります。

固定資産の分類

固定資産は以下のように分類することができます。

有形固定資産=原則1年以上使用することを目的として所有する資産のうち具体的な形態を持ったもの
無形固定資産=具体的な形を持たない資産で、長期に渡り経営に利用され、他企業との競争上有用なもの
投資等」=「長期の利殖を目的とした資産、他の企業を支配するための投資およびこれらに属しない長期資産」

固定資産の計上

固定資産の修繕

資本的支出
「資本的支出」という理解しにくい用語があります。資産の修繕のための支出のうち資産として計上す
べきもののことを意味しますが、実務上問題になるのが「修繕費」との区分です。
􀂄 資本的支出と認定されれば貸借対照表の固定資産の部に計上されますが、修繕費と認定されれば損
益計算書の販売費・一般管理費の項に計上されます。その判定は紙一重なのですが、当期損益の額
に影響する大きな違いとなって表れてきます。
􀂄 その認定基準は資産の価値を高めるものかそうでないものかが基本となりますが、個別の事情により
判断するしかありません。
􀂄 資本的支出であれば、資産計上のため①資産の追加取得、②補助資産の新規計上などで処理しま
す。

固定資産の除却

廃棄の場合
􀁺 売却の場合
① 機械を廃棄した(間接法、取得価額200,000円、減価償却累計額150,000円)。
減価償却累計額 150,000円
廃棄損50,000円
機械    200,000円資産の減少
③ ②と同じく売却したが60,000円だった。
② ①の資産を(廃棄せず)30,000円で掛けで売却した。
資産の増加
費用の発生
減価償却累計額 150,000円
未収入金30,000円
固定資産売却損20,000円
機械    200,000円資産の減少
資産の増加
費用の発生
減価償却累計額 150,000円
未収入金60,000円
機械200,000円
固定資産売却益10,000円
資産の減少
資産の増加
収益の発生
一般
􀂄 固定資産の「除却」はいろいろな意味合いで使われますが、ここでは「廃棄」と「売却」の双方を含むも
のとして使います。
􀂄 「廃棄」はその名の通り、使えなくなった資産を廃棄することで、見返りの収入はありません。上記①は
間接法の資産の場合の仕訳ですが、取得原価を貸方に、そのときまでの減価償却累計額を借方に
仕訳します。そして、その差額である「簿価」の分だけ価値のあった資産を廃棄するので、その額を「廃
棄損」勘定に仕訳します。この勘定は資産の種類ごとに「○○廃棄損」と使い分けたり、「除却損」の名
称になることがあります。
􀂄 売却の場合も考え方は同じですが、いくらかでも代金を受け取れる点で大きくことなります。売れた金
額が「簿価」以下か以上かで仕訳が異なります。
􀂄 「簿価」以下で売却された場合は、簿価と売却額との差額が「売却損」となります。②の事例ですと、
50,000円の簿価の資産が30,000円でしか売れなかったので、20,000円の売却損となります。
􀂄 「簿価」以上で売却された場合は、簿価と売却額との差額が「売却益」となります。③の事例ですと、
50,000円の簿価の資産が60,000円で売れたので、10,000円の売却益となります。
􀂄 なお、固定資産廃棄損、売却損益勘定は損益計算書上、特別損益に区分されます。資産の除却は通
常の業務ではないとみなされるためです。
設備投資予算
リース資産
固定資産を購入するのではなく、リース契約で使用する場合も会計処理が必要です。
􀂄 詳しい基準は省略しますが、リース契約にも2種類あって、①オペレーティングリースは賃貸借と同視さ
れるもので、賃貸系契約と同様リース料を費用として処理するだけなのに対し、②ファイナンスリース(
キャピタルリースともいいます)は、期間中は解約ができないなど売買契約に近いリースです。
􀂄 ②ファイナンスリースの場合はその性格から資産の購入と似た処理をすることになっています。ファイ
ナンスリースでは、「借金したお金を元に資産を購入した」ように考えるのです。借金には金利がかかり
ます。その金利分を資産代金の分割払い分に上乗せした金額を、毎月リース料として支払っているも
のと考えます。これを逆に考えると、リース料総額(上記マスタの例だと5,000UNIの60回払いなので総
額300,000UNI)のなかから金利分を差し引いた額(現在価値:282,833.80UNI)が資産の価値相当とみ
なせます。これが「取得価額相当額」です。リース関係の勘定科目名称に「相当」額とあるものが多いの
は、金利を元にみなし計算をしているためです。
􀂄 資産と同視しますので、減価償却費「相当」額も必要ですし、減価償却累計額「相当」額も必要です。
取得価額「相当」額から減価償却累計額「相当」額を差し引いたものが期末残高「相当」額です。これら
を資産勘定として計上することになります(例外あり)。
􀂄 R/3では上記双方のリース資産の管理を固定資産管理モジュールで行うことができます。

建設仮勘定

固定資産はその建設・作成に長期間かかることがありますので、その間仮の資産として計上しておくのが建設仮勘定です。 

仮勘定ではありますが、仕訳上の調整に使うものではなく実態を伴うものですから、期末決算時に他勘定に振り替える必要はありません。貸借対照表の「有形固定資産」の部に計上することができる仮勘定です。

建設仮勘定の資産については減価償却を行いません。減価償却は業務に供されていないので、償却する必要がないためです。

建設中・作成中の有形固定資産
􀁺 減価償却しない
􀁺 完成後、固定資産勘定に振り替え
A建設に建物の建築を依頼し、代金の一部2,000,000円を当座預金から振り込んだ。
建設仮勘定  2,000,000円当座預金 2,000,000円資産の減少
② ①の資産が完成し引渡しを受けたので、残代金8,000,000円を約束手形で支払った。
建物   10,000,000円支払手形8,000,000円
建設仮勘定2,000,000円資産の減少
資産の増加
資産の増加負債の増加
一般
􀂄

固定資産台帳

固定資産の補助元帳が固定資産台帳になります。

資産1件ごとに取得、除却等の取引データと減価償却を記録して、その結果を総勘定元帳に転記します。