減価償却費とは、建物や機械設備など,企業が長期間にわたって利用する資産を購入した場合,その購入価額をいったん資産として計上した後,当該金額を資産の耐用年数にわたって規則的に費用として配分される金額のことです。
減価償却の計算方法には、大きく分けて「定額法」「定率法」の2種類があります。
固定資産の種類によっては、定額法だけしか適用できなかったりすることがあります。
取得原価をその耐用年数における各事業年度に配分すること
固定資産は長期に渡って使用・所有するものですから、時間の経過とともに価値が減っていきます。
そこで、一定のルールに基づいて資産の取得原価をその耐用年数における各事業年度に配分することが必要にあんります、これが「減価償却」です。
仕訳で表すなら、資産に計上されていた価額の一部が損益計算書の費用に振り変えられることになります。
しかし、①時間の経過によって価値が減らない資産、②価値の変化が時間では測れない資産につい
ては、その性格上減価償却の対象外となります。これが「非償却資産」です。
償却のルールには以下の3種があります。
減価償却のルールに何を使うべきかは会計の目的によって変わってきます。
税法によって損金に計上できる償却費の計算基準が決まっています。例えば建物は定額法、機械は
定率法などです。耐用年数も詳細な規定があります。
しかし、企業会計上の償却はそれに従う必要はありません。もちろん税法で決められた償却方法をそ
のまま採用してもかまいませんが、企業独自に償却方法を選択したり耐用年数を変更したりすること
が可能です。この場合、決算書に載る数値はこちらの数値となります。
このような会計上の償却の自由があるからといって、頻繁に償却ルールを変更することは許されませ
ん。利益操作に使われる可能性があるからです。また有価証券報告書等には企業が採用している償
却基準を明記することになっています。
税効果会計のところで紹介したように、税法上の償却費の数値も把握する必要がありますから、固定
資産システムでは会計償却の値と税法償却の値の双方を持たねばなりません。R/3ではこのような複
数の償却基準での管理を「償却領域」という機能を使って実現します。
償却領域の使い方としては、例えばUSGAAP(米国会計基準)など他国の基準に基づいた償却デー
タを管理することもあります。
減価償却の仕訳には間接法と直接法があります。
なお、間接法の場合であっても貸借対照表上に減価償却累計額の勘定残高を表示しない場合があります。資産勘定の残高として直接法と同じ金額を表示させる方法です。「注記法」という方法で、その場合は欄外の注記の項に減価償却累計額の残高を表示します。
いずれの場合も、減価償却後の資産価値のことを「簿価」ないし「正味簿価」といいます。
間接法の場合、簿価は以下の式で計算します。
「正味簿価 = 取得価額 - 減価償却累計額」